2021/11/01 13:00
2021年10月27日発表のBillboard JAPAN 総合ソング・チャート“JAPAN HOT 100”では、LiSAの「明け星」が配信リリース後初登場1位を獲得した(【表1】)。今回の新曲もLiSAの代名詞となった『鬼滅の刃』の主題歌で、10月から放映されている新シリーズ『無限列車編』のオープニングに、また「白銀」がエンディングに使用されている。
これまでもLiSAは『鬼滅』関連曲の「紅蓮華」や「炎」などで圧倒的な強さを見せてきたが、今回も大ヒットは予想されていた。というのも、発表された時点で大きな反響があり、9月29日発表の“JAPAN HOT 100”におけるTwitterのつぶやき数で11位を記録していたからだ。そして、10月18日に先行配信されたことを受けて、ダウンロードでは圧倒的な1位を獲得。ストリーミングは19位だったが、BTS、優里、YOASOBIといった強豪がひしめき合っている中では十分な結果だろう。楽曲の認知がさらに上がった来週以降のストリーミングは、より上位を狙っていくと思われる。
ただ、LiSAの快進撃はここでとどまることはない。11月17日にはフィジカルのCDリリースが控えているからだ。彼女のファンはもちろんだが、『鬼滅の刃』の視聴者は年齢層も幅広く、CD購買層の比率も非常に高い。となると、筋書きとしては、今回の配信リリースにおけるタイミングの首位を起点にプロモーションを引っ張り、ストリーミングでじわじわと順位を上げ、そのうちカラオケのチャートも入ってくるという読みになる。そのタイミングでCDリリースで一気に売上数とルックアップ(PCによるCD読取数)のポイントを稼ぐはずだ。よほどの強敵がいない限り、首位獲得は確実といえるだろう。以前、LiSAのチャート・アクションは優等生的だと評したことがあるが、この「明け星」に関してもおそらくこのような敵なしの状態で、どのポイントにおいても強さを見せつけてくれるはずだ。
さて、『鬼滅の刃』はすでに12月から『遊郭編』という新シリーズの放映が予定されている。こちらの主題歌はLiSAではなくAimerが担当することも決まっているようだ。LiSAのイメージが強い『鬼滅の刃』のタイアップがどのような反響を呼び起こすのか。Aimerのチャート・アクションも楽しみである。
Text:栗本斉
◎栗本斉:旅&音楽ライター、選曲家。レコード会社勤務の傍ら、音楽ライターやDJとして活動を開始。退社後、2年間中南米を放浪し、現地の音楽を浴びる。その後フリーランスとして活動した後、2008年から2013年までビルボードライブのブッキングマネージャーに就任。フリーランスに戻り、雑誌やライナーノーツなどの執筆や音楽評論、ラジオやストリーミングサービスにおける構成選曲などを行っている。
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